座キューピーマジック・河合雪絵

中村太陽

中村太陽

役者として、色んな現場に顔を出すと思うんですけど、印象的な現場ってありますか?

河合雪絵

河合雪絵

私は同じところに出がちなんですけど、昔やってた“ドブ恋”って舞台があって、それはやっぱ印象的でしたね。
オープニングで男女が下着で踊るんだけど、オムニバスで、10話〜12話くらいで1時間半くらい。
1話3分くらいのコントからシリアスだと長くて15分くらいの話なんですけど……まあまあ、下衆ぃ(笑)。

中村太陽

中村太陽

(笑)

河合雪絵

河合雪絵

なのに、それが感動的な作品になっているので特徴ですね。
それを7〜8年ぐらいやっていたのですが、とても印象的でした。

中村太陽

中村太陽

小劇場って、ブッ飛んでいるところってブッ飛んでいるじゃないですか。
これが好きっていうお客さんが集まるので、僕はそれで良いと思います。
そうやって考えると、最近の9-Statesは、みんなに好かれようとしているのが、よくないのかもしれない。
歳をとって安牌を切ってしまうことが多くなったと思っています。
昔は本当に嫌われてもいいと思っていたんですけどね……。

河合雪絵

河合雪絵

私もできたら嫌われたくないですね。
平和に生きたい。

中村太陽

中村太陽

でも尖った作品の方が、映えますよね。

河合雪絵

河合雪絵

憧れます。

中村太陽

中村太陽

そういう尖った作品、一緒にやってみたい。

河合雪絵

河合雪絵

私も是非!

中村太陽

中村太陽

なんというか……ちょっとしか光が見えないような。
けど、そこに必ず光があるんだ! みたいな物語を。

河合雪絵

河合雪絵

いいですね。
それで主人公は、その光を目指して————

中村太陽

中村太陽

いいえ、お客さんたちが光のない舞台をみて、こう言うんです。
「あれ? あんま顔が見えないな」

河合雪絵

河合雪絵

え?

中村太陽

中村太陽

「スゲー暗いぞ」って。

河合雪絵

河合雪絵

そっち?

中村太陽

中村太陽

昔、舞台でやったことがあるんですけど、映像でみたら、ほぼ暗転でした。
若い時は、そういうのがやりたかったんですよね。
真っ暗な状態が30分続くんですけど、お客さんさすがに寝ちゃって。
反省しました……。
そういう尖った作品を一緒にやりたい。
これまでチャレンジしてきましたけど、もっと勝負しないとダメですね。
これまでやってきた公演数より、残りの公演数の方が少ないので。

河合雪絵

河合雪絵

いやいやいや。

中村太陽

中村太陽

だってこれから20年はキツいですよ! これから20年はキツいですよ!

河合雪絵

河合雪絵

2回言った(笑)。

中村太陽

中村太陽

毎年勝負です。
毎回ラストステージだと思っていかないといけないのに、暗転が続く物語なんてできるのかな……。

河合雪絵

河合雪絵

やりましょう!

中村太陽

中村太陽

実はちょっと前に、少しだけやろうとしたことがあって。
駅前の演劇祭で主役の女の子が最後の吐露するセリフが4つあるんですけど、そのセリフを喜怒哀楽で表現して欲しいとお願いしました。
ちょっと狂ったシーンになるんですけど、稽古場とかで、表情とかがすごく良くて。
なのに僕、そのシーンを暗転にしたんです。

河合雪絵

河合雪絵

わー。

中村太陽

中村太陽

結構な人たちからグチグチ言われたんですけど、欲望に勝てませんでした……。

河合雪絵

河合雪絵

暗転したいという欲望?

中村太陽

中村太陽

お客さんの想像力を活かしたかったんで、絶対に見せたくなかったんですよね。

河合雪絵

河合雪絵

私も暗転で見たいですね。

中村太陽

中村太陽

本当はやりたかったんですけど、周囲から反対されて……。
好みなんでしょうけど、それに近いことを、お客さんの想像力を掻き立てるような演出がやりたいなと思っていて、だからそれで朗読が良かったので、書いてみたいなと思ったんですよ。

河合雪絵

河合雪絵

光栄です。

中村太陽

中村太陽

いやほんとに、豊島さんには素敵な方を紹介していただいたなと思っています。

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