役者として、色んな現場に顔を出すと思うんですけど、印象的な現場ってありますか?
私は同じところに出がちなんですけど、昔やってた“ドブ恋”って舞台があって、それはやっぱ印象的でしたね。
オープニングで男女が下着で踊るんだけど、オムニバスで、10話〜12話くらいで1時間半くらい。
1話3分くらいのコントからシリアスだと長くて15分くらいの話なんですけど……まあまあ、下衆ぃ(笑)。
(笑)
なのに、それが感動的な作品になっているので特徴ですね。
それを7〜8年ぐらいやっていたのですが、とても印象的でした。
小劇場って、ブッ飛んでいるところってブッ飛んでいるじゃないですか。
これが好きっていうお客さんが集まるので、僕はそれで良いと思います。
そうやって考えると、最近の9-Statesは、みんなに好かれようとしているのが、よくないのかもしれない。
歳をとって安牌を切ってしまうことが多くなったと思っています。
昔は本当に嫌われてもいいと思っていたんですけどね……。
私もできたら嫌われたくないですね。
平和に生きたい。
でも尖った作品の方が、映えますよね。
憧れます。
そういう尖った作品、一緒にやってみたい。
私も是非!
なんというか……ちょっとしか光が見えないような。
けど、そこに必ず光があるんだ! みたいな物語を。
いいですね。
それで主人公は、その光を目指して————
いいえ、お客さんたちが光のない舞台をみて、こう言うんです。
「あれ? あんま顔が見えないな」
え?
「スゲー暗いぞ」って。
そっち?
昔、舞台でやったことがあるんですけど、映像でみたら、ほぼ暗転でした。
若い時は、そういうのがやりたかったんですよね。
真っ暗な状態が30分続くんですけど、お客さんさすがに寝ちゃって。
反省しました……。
そういう尖った作品を一緒にやりたい。
これまでチャレンジしてきましたけど、もっと勝負しないとダメですね。
これまでやってきた公演数より、残りの公演数の方が少ないので。
いやいやいや。
だってこれから20年はキツいですよ! これから20年はキツいですよ!
2回言った(笑)。
毎年勝負です。
毎回ラストステージだと思っていかないといけないのに、暗転が続く物語なんてできるのかな……。
やりましょう!
実はちょっと前に、少しだけやろうとしたことがあって。
駅前の演劇祭で主役の女の子が最後の吐露するセリフが4つあるんですけど、そのセリフを喜怒哀楽で表現して欲しいとお願いしました。
ちょっと狂ったシーンになるんですけど、稽古場とかで、表情とかがすごく良くて。
なのに僕、そのシーンを暗転にしたんです。
わー。
結構な人たちからグチグチ言われたんですけど、欲望に勝てませんでした……。
暗転したいという欲望?
お客さんの想像力を活かしたかったんで、絶対に見せたくなかったんですよね。
私も暗転で見たいですね。
本当はやりたかったんですけど、周囲から反対されて……。
好みなんでしょうけど、それに近いことを、お客さんの想像力を掻き立てるような演出がやりたいなと思っていて、だからそれで朗読が良かったので、書いてみたいなと思ったんですよ。
光栄です。
いやほんとに、豊島さんには素敵な方を紹介していただいたなと思っています。