『太陽のお歌詩箱』第8弾
今回の楽曲は『隣人の好きな人参』

ある時──。
隣の部屋の住人にニンジンをお裾分けしたら、“いい人”と誤解された。
いや、正確には、誤解されたというより、勝手にそう思われた、という方が近いかもしれない。
それが始まりだった。
人は時々、都合のいい理想を他人に押しつける。しかも、悪気なく。
気づけば僕は“聖人”扱いされていて、頼みごとを断ることすら許されない空気になっていた。
ある日──。
玄関の前に置かれた手紙に「あなたなら引き受けてくれると思ってた」とだけ書かれていた。
変わってしまったのは僕ではなく、アナタの見方だった。
それから、隣人の猛攻撃が始まった。
あの~~~。
アナタの目に僕はどう映っていたんですか?
それでは聴いてください。
『隣人の好きな人参』
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『隣人の好きな人参』
光の中に立っていた
その人だけが僕の理想
そのものになった
言葉も仕草も完璧で
信じることが正義となった
完全だった偶像は いつしか
歪な像へと ずれていく
違うよ それは僕が欲しい言葉じゃない
どうして僕と違った道を選ぶの?
僕の中の 誰かが叫ぶ
ソイツはお前の神様じゃない
英雄の皮をかぶった
ただのサル
ようやくわかったんだ
嘘つきなんて必要ない
純粋な僕を 騙したアナタに
僕の正義が 牙をむく
正しさで世界を作るために生まれた僕等
それが暴人
それが暴人
それが暴人
知らないうちにまつりあげ
勝手に理想を重ねられ
僕は神と呼ばれた
ただ話してただけなんだ
ただ笑っていただけなんだ
優しくもあった声色が いつしか
狂気の色へと 変わってく
違うよ それは君が欲しい言葉じゃない?
どうして君の理想を押し付けるの?
僕は誰かの夢じゃない
都合でできた神様じゃない
どこにでもいる中の ただの人
君を見てたら見えてくる
本当の僕は必要ない
純粋な君の 狂った正義が
僕の世界に 襲い来る
正しさで世界を作るために生まれた君等
それが暴人
怖い暴人
やだよ暴人
信じることが救いならば
どうして争いが起こるのだろう
僕の神様と君の神様は
いつも違った顔をしているから
きっと いつまでたっても
恐れ合うのだろう
僕を信じると君が笑うから
笑顔で僕はキミを否定したんだ
正しさで世界を作るために生まれた皆
それが暴人
怖い暴人
きっと暴人
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信じるという行為は、素晴らしいものです。
けれど、それを他者に強要し始めた瞬間、物語は静かにホラーへと変貌します。
「理想」という名の刃物は、意外にも鈍器より危険なのかもしれません。
「自分が信じていることは、自分の中で完結させてほしい」
そう願うのは、わがままなのでしょうか。
理想の押し売りほど、扱いに困るものはありません。
では、歌詞を書いた中村太陽からのコメントです。
『最近、このコメントがプレッシャーになってきました』
コメントだって、期待されすぎると苦しくなるみたいです。
皆さんも他人との距離感は大事にしましょう。
では次回はどんな楽曲が出来上がるのでしょうか?
どうぞ、お楽しみに。