南雲キエさんが選ぶ、ゆかりの街『中野』

中村太陽

中村太陽

去年、『みんなのえほん』という作品に参加してもらったんですけど、どうでしたか? 初めて出演して。

南雲キエ

南雲キエ

とても良い経験させていただいたと本当に思っていて、座・キューピーマジック以外で、初めての団体さんだったので、物凄く緊張しました。

中村太陽

中村太陽

緊張してたねー。

南雲キエ

南雲キエ

緊張していましたよね。
今思うと、申し訳なくて。
「10年やっています」と言いながら、どこ居たらいいか全然分からなくて。

中村太陽

中村太陽

9-Statesの準備もよくなかったのかなと反省していますけど。

南雲キエ

南雲キエ

いえいえ、そんなことないです。
最終的に私、安心したのは、集中稽古の時に太陽さんに相談しにいった時でした。
「どうしたらいいんでしょうか?」って。
その時、「好きなようにやってくれ」って、言っていただいて、「もしなんか躓いたら9-Statesの劇団員が回すから大丈夫」って。

中村太陽

中村太陽

(笑)

南雲キエ

南雲キエ

あれがメチャクチャありがたくて。
「あっそうなんだ! 私の好きな様にやらせてもらっていいんだ!」みたいな。

中村太陽

中村太陽

『劇団員はそのためにいる』って前からよく言っています。
初めてその劇団に出演される方は、雰囲気を掴むのに時間が掛かることもあると思います。
劇団ごとに正解が違うと思いますが、9-Statesの場合、客演さんには好きな様にやっていただいています。
そのうえで、劇団員が周りを固めるというか、世界を寄せていくような感じです。
普段のワークショップでは、『9-Statesの世界ってこうだよね』っていうものを提示するのが、劇団員の仕事だと思います。
最終的には、劇団員にも活躍してもらいたいけど、劇団員にはある程度の足枷があっても良いと思う。
それこそ20年以上一緒にやってきているので。
もちろん客演さんには一個一個説明していきたいと思っていますけど。

南雲キエ

南雲キエ

丁寧にやってくださいますよね。

中村太陽

中村太陽

やっぱり出演者には活躍してもらいたいじゃないですか。
客出しの時、お客さんに、「お芝居良かったね」って言ってもらいたい。

南雲キエ

南雲キエ

スゴイ評判良かったです。

中村太陽

中村太陽

本当ですか?
ありがとうございます。
良かったです、お客さんにはお金をもらっているので。

南雲キエ

南雲キエ

そうですよね、時間とお金と。

中村太陽

中村太陽

もちろん“面白い”ということが絶対なんでしょうけど、それ以上に心に残るような芝居ができたら良いなと思います。

南雲キエ

南雲キエ

そうですね。つまらない作品を観せて帰らせたくないですね。

中村太陽

中村太陽

7月の暑い中、汗だくで下北沢まで来ていただいて、汗だくで観るような芝居じゃないんだけどね(笑)。
『みんなのえほん』の時のキエちゃんの芝居の印象は、もっと早い段階でリラックスというか、ホーム感が出せたら、お芝居の幅が広がったのだと思いますよ。

南雲キエ

南雲キエ

そうですね。

中村太陽

中村太陽

全部しっかり芝居をしてくれて、シーンももったし、見どころもあったけど、僕は抜いた芝居が好きなんです。
B1は2面舞台なので声が通りづらくて、周りの人たちが「もっと声出した方がいいんじゃない?」って言っていたけど、僕は若干「うるせえな」って思っていました。

南雲キエ

南雲キエ

そうだったんですか?

中村太陽

中村太陽

あんまりいうと、声を出すので一杯一杯になっちゃうから。

南雲キエ

南雲キエ

(笑)。

中村太陽

中村太陽

劇小で初めてキエちゃんのお芝居を観た時、正直キエちゃんが一番声が出てなかったんですよ。

南雲キエ

南雲キエ

そうかもしれないですよね。
あの役も特に大人しい役だったので、抑えめにやりました。

中村太陽

中村太陽

舞台を観ていて、「今、何て言ったんだろう?」とか「聞こえなかったな」って思うことがあったんです。けど、それが良かったんですよ。

南雲キエ

南雲キエ

逆にですか?

中村太陽

中村太陽

主演の方が人格破綻する役をやっていて、熱めの芝居をしていたんですけど、それに対してキエちゃんは、スーパー抜いた芝居をしていたんですよね。
それが良かった。
会って話すまでは勝ち気な女の子だと思っていたんですよ、実は。

南雲キエ

南雲キエ

私がですか?

中村太陽

中村太陽

勝ち気というか、曲げないというか……。

南雲キエ

南雲キエ

あぁ……私、ユルユルですよ。

中村太陽

中村太陽

はい、そうでした。

南雲キエ

南雲キエ

(笑)

中村太陽

中村太陽

あの世界観の中で、あの芝居をチョイスするので、9-Statesで芝居をしたらどうなるんだろうとワクワクして誘ったんですよね。
最初の稽古の時は、そんなお芝居じゃなかったですか?

南雲キエ

南雲キエ

そうかもしれないです。豊島さんからも「そこを気に入ってくれたみたいだよ」って聞いたので、「それでいいんだ」と思って挑みました。

中村太陽

中村太陽

だから最初はビックリしましたよね。
映画っぽくなったなって。
でも、そういうのもアリだと思ったんですよ。
ちょうどこの作品で初めてコンテンポラリーダンスを演出で入れてみようって話があって。
若い頃は「劇中になんで踊ってんの?」とか思っていましたけど、今は表現の一つとして捉えていて、これまでやったことがなかったけど、歳を取ったからチャレンジしないっていうのも嫌だなと思ってやりました。

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