中村太陽


強く儚い者たち/Cocco
この曲を聴いていると、
まるで物語を読んでいるような気持ちになります。
ページをめくるように感情が進んでいって、
気づいたら別の場所に立っている。
寓話みたいに、切なさと皮肉が同じ温度で並んでいるのです。
読書って、
静かに自分の輪郭が書き換わる行為だと思うのですが、
この曲にもその“ゆっくりとした変化”があります。
聴き終えたあと、
人として一つ強くなっている。
そんな気がします。
こんな時代です。
レベルアップは必須です。
ガンガン鳴らして、
一緒に無敵になりましょう。
松本定規


14歳/amazarashi
実は、amazarashiの『14歳』という楽曲は、お笑い芸人・千原ジュニアさんの自伝小説『14歳』から強い影響を受けて作られたという背景があります。
千原ジュニア氏がかつて綴った自伝的小説『14歳』。進学校での挫折、引きこもり、暗闇の中で「自分とは何者か」を問い続けた日々を描いたこの本は、後にamazarashiの秋田ひろむ氏の手によって同名の楽曲『14歳』へと昇華されました。
本と楽曲、表現の形は違えど、底に流れているのは「どこにも行き場のない孤独」と「言葉への執着」です。
周囲とのギャップに悩み、部屋の隅で膝を抱えていた14歳の千原ジュニア氏。
そんな彼が外界との唯一の接点として文字や思考に向き合ったように、この楽曲もまた、不条理な現実に傷つくすべての人に寄り添います。
「本を読む」という行為は、社会から一度離れ、自分の内面と深く対話する作業でもあります。
千原ジュニアの小説『14歳』を紐解きながら、amazarashiの『14歳』を聴く。
それは、かつて自分自身が抱えていた暗闇や痛みを「言葉」と「音楽」で肯定してもらうような、特別な読書体験になるはずです。暗闇の中にいた少年少女が、やがて自分の表現(お笑いや歌)という光を見つけていく。
そんな力強い再生のストーリーを感じたい時、ぜひ本と音楽をセットで味わってみてください。
吉﨑崇二


バンドマンの女/クリトリック・リス
「音楽」なので、「読書」と言われても、なんのことやらって感じですが、思えば僕は、インストや洋楽などは、何も考えずに雰囲気や熱量だけで聴いていることが多かったんだなと、改めて気付かされました。ですので今回の「読書」は、まるで読書をしているかのように、読み物としての曲を選びました。クリトリック・リスといえば、前に近所(下北沢)でお見かけして、メチャ興奮しました。当時は成り上がるために住んだ街だったので、「これが東京かぁ……」みたいな気持ちだったのが、今はもう懐かしい。そんなクリトリック・リスの「バンドマンの女」は、ストーリー性があるというよりは、中島みゆきの一人語りのような、哀愁漂うパンクバラードって感じの、とっても心を熱くする名曲でございます。歌詞がとても良いので、ぜひ聴いてください。
読書は、
誰かの言葉に触れた瞬間に生まれる静かな変化です。
気がついた時には、
もう元の自分ではありません。
そんな“読書の音”が、
あなたの9月に少しでも似合えば嬉しいです。
それでは、また来月の「ぼくらのおんがく」でお会いしましょう。