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月1の寄稿ということで、何を書こうか悩んでいました。

太陽くんはコラムを書くと言いつつ、エッセイを書いているみたいですが、(今はエッセイに統一したのかな?)
僕にも何か題材みたいなのが必要かと思っていて。
日記を書いたとしても、それほど劇的な日常を送っているわけでもないので、読んでも全然面白いものでもないですし。

色々考えた結果、僕の趣味、というかアイデンティティでもある映画旅行について書き綴っていこうと思います。

映画旅行というのは、僕が作った造語です。
最近時間ができたこともあり、映画は映画館でちゃんと観るようにしています。
というのも、配信サービスで映画を観ても途中で集中力が切れてしまい、最後まで観られないことが多く、不完全燃焼で終わってしまうのが問題でした。
まあ小分けにして観る方法もあるんですけど、どこか味気ないというか……。
あくまで仕事として冷静にシナリオを分析するだけなら、それでもいいんですけど、作品を観る以上、やっぱり自分にも熱量欲しいじゃないですか。
それで試しに映画館に行ってみることにしたら、やっぱり良くて。

非日常的な音響と迫力の映像。
当然、最後まで映画を楽しめますし、改めて自分は、映画が好きなんだと再認識したのであります。
これはもう映画好きというより、映画館好きなのかも知れませんね。

そんな訳で、最近は、映画館通いをして、映画を楽しんでいます。

楽しみ方にも色々ありまして、僕の場合、毎週ネットであがってくる映画情報に目を通して、一週間の予定を立てることで、プランから映画を楽しむようにしています。
「火曜水曜は、TOHOシネマズがお得」とか、「週末は、アップリンクが安い」とか。それで、観る日や時間などを計算して。
通常1900円。
毎日見てたら6万円近く掛かってしまうので、お得に観ることも長く続けていく上で必要なことです。

そんなことを考えながら、予定を立てる生活は、まるで映画旅のプランを立てているかの様で、音楽フェスで「この時間は●●観て、何時になったら、このステージに移動して××を観る」みたいなプラン立てが僕のルーティンとなっています。

そんな映画プランを日記形式に、ほんのり批評しながら書いていければいいかなと思い立ち、僅かですが、情報も提供できるし、僅かでも役立ては、これ幸いです。

この企画「日陰に咲いたリウジ」は、毎月19日にアップするということなので、

15日を区切りに毎月、映画館で見た作品をアップしようと思います。

一応、宣言しておきますが、きっと【ネタバレ】します。

なので、内容を知りたくない方は、目を逸らしましょう。

あと、マイナス要素は、掲載しません。
面白かった点だけ語りたいと思います。

というのも、自分の職業が脚本家なので、あんまり偉そうなことが言いたくないのです。

その点はご理解ください。

それでは早速、本題に入りましょう。


10月15日〜11月15日


CLOSE クロース

ルーカス・ドン監督脚本のベルギー・フランス・オランダの合作映画です。
13歳の2人の仲良し少年が、同級生の女の子に揶揄されたことで、次第に関係が変化していく少年の成長物語。

シナリオが絶妙で、大好きなシーンが2つありました。
1つは、主人公である13歳少年が親友の死を確認したシーン。

細かい描写が描かれておらず、間接的な表現で親友の死を知らせてくれます。
それは、こじ開けられた風呂場の扉。

前振りで、風呂場に閉じこもり癖がある描写を見せてあるので、とても自然に察することができます。

こういう描写って、特にテレビドラマとかやっていると、どうしても説明過多になりやすいのですが、こういったト書テクニックは、本当に勉強になります。

2つ目は、最後の親友の母親に、親友は自分の所為で死んだことを告白するシーン。

ここはいわゆるクライマックスになるところかと思いますが、とてもいいシーンで鳥肌が立ちました。

車中で二人きりになった主人公と親友の母親。
しばらく会話が続き、深い山奥に入ったところで、ついに主人公が告白するのですが、親友の母親は、言葉を詰まらせ長い沈黙が続いた後、最後に車から降りるよう強要します。

一見、普通に見えるシーンですが、このシーンの前に主人公が親友の母親の職場に尋ねに行くシーンがあり、そこが産婦人科ということで、子供が大好きであることが分かります。

つまり、他人の子供であっても大事にする子供好きの母親が、深い山奥で車から降りろというのは、筆舌に尽くし難い心境であったことは確か。

それを上手く表現されているシーンだと思い、心を打たれました。

1ヶ月前に見た作品でしたけど、素晴らしい物語でした。


リゾートバイト

僕の事務所の先輩作家でいつもお世話になっている宮本武史さんが脚本を担当した物語です。
これは正直、ストーリーは語れません。色んな意味で。
けど、社交辞令ではなく、本当に面白い脚本だと思いました。

実際に映画見終わって、すぐに連絡しちゃいましたよ。「興奮しました」って笑。
とにかく展開、伏線回収を見て欲しい。これでもかってくらい回収していて、その為に作った作品だろうなと思ってしまいました。
そのぐらい回収が楽しい作品となっております。

この作品に出演している松浦祐也さんが大好きで、「岬の兄妹」からのファンなんですが、ここでも最高な演技をしておりました。

映画の楽しみは、シナリオも然る事乍ら役者の名演技でもあります。今回もご馳走様でした。


石井裕也監督脚本の物語です。

実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした作品。

やはり重いテーマを持った作品なので、色々と議論されていますが、僕はあくまでもフィクション作品のつもりで鑑賞しました。

ムカつく人物を描かせたら、石井監督の右に出る人はいないんじゃないか?そう感じるくらい、良い意味で胸糞悪い描写が続き、どうしようもない気分になりますが、こういった気持ちになるのも映画の良いところだと思い、大満足の一日となりました。

宮沢りえさんの後半にあった長台詞を聞いていて、感情吐露的なところでもあったのですが、太陽くんもこういうことやりたいのかな?とふと思うところがありました。
代表にも是非観てもらいたい作品です。
観ないと思うけど笑。

ひょっとしたら今年のベスト10に入れちゃうかも。。。


愛にイナズマ

石井裕也監督脚本の物語。

まさかの2連チャン。月のあとにこれか……笑。

冒頭、地元が撮影現場に使われていて、テンションが上がったのを覚えています。

劇中で、仲野大賀くんが売れない役者を演じていて、やっとの想いで役を獲得しますが、その相手役が中野英雄さんだったのが胸熱だったけど、それを叶わぬ夢にしてくれたところが手の込んだ裏切りでした。
まあメタですけど。

月もそうですが、石井監督のセリフは、簡単には聞き流せない、爪痕を残すようなセリフが散りばめられていて、リアルというか、熱量を感じます。


キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

マーティン・スコセッシ監督脚本の実話に基づいたギャングものです。

まあこれは僕の好みというか、スーパーレジェンド監督なので、観たいというか観なきゃという気持ちで鑑賞しました。

観なきゃ語れないですからね。
観ずに文句を言う大人にはなりたくないし。
スコセッシ監督は「ハスラー2」と「グッドフェローズ」しか観てませんけど……。


ドミノ

ロバート・ロドリゲス監督の作品です。

有名人ですが、実は殆ど観てません。
一応、オムニバスの「フォールームス」を1話やっているみたいだけど。。。

内容は、とにかく難解で、感情移入は難しかったのですが、よくできている作品だとは思います。

ミッドポイントから視点がガラリと代わり、舞台の裏側を見るあたりなんかは、「カメ止め」の構造と少し似ている感じがして、こんな構造もあるんだなと勉強になった気もしました。

ただまあ、難しい作品なので、観る人は心して観てください。


ゴジラ-1.0

山崎貴監督作品の新作ゴジラ。

設定を戦時中にしたところが、今回のミソですね。
というのも、十死零生といわれた神風特攻隊で逃げ出した男がもう一度立ち向かうと言う設定が肝なので、現代設定にして代わりを充てがうことは難しいでしょう。

内容は王道展開でとても分かりやすく、感情移入しやすいので誰でも楽しめる内容でした。

最後に死なずに帰ってきた主人公も大衆を意識した展開だったと思います。

俳優だと、安藤サクラさんがブチ良かったです。
最近、朝ドラの再放送で「まんぷく」観てて、先月「バッドランズ」「ゴジラ」を流して見ていると、彼女の芝居の上手さに惚れ惚れします。

もう最高だわ。


春に散る

瀬々監督の作品。結構前にやっていた映画ですが、見逃してしまい、二番館で鑑賞。

片岡鶴太郎さんが出ていて、ちょっと嬉しくなりました。

あと、窪田くん、やっぱり好きです。


正欲

僕が憧れる脚本家・港岳彦さんが脚本した作品。
テーマが突き刺さる設定とクライマックスが魅力的でした。

水と子供がキーになっていて、そこから誤解が生じるという、意外なすれ違いがこの物語の面白いところですね。

後半になって、急に展開が早まり、そこからスイッチが入ったような印象がありました。

磯村くんとガッキーの擬似セックスはサービスショットだと思いましたが、ちょっと良かったです。


そんなわけで、今月分は以上になります。

後半にかけて、だんだん文章の量が減ってしまっていますが、一気に書いたので、途中、力尽きたって感じです。
すんません。

来月からは、書き溜めてからアップしますね。

それではみなさん、今月も映画を楽しみましょう。

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