中村太陽
コロナの時、まるまる2年空いたので、演出する時にブランクを感じたんですけど、役者さんって、そういうのありますか?
石井玲歌

そんな感じなかったですね。
今年は2本9-Statesとカオスエンターテイメントにも出させてもらいましたけど、普段からずっとやってるわけじゃないから。

中村太陽
いま9-Statesで週一回、ワークショップみたいなのやってて。
上手くなるというよりは、腕が鈍らないように、「肩を温めておこうぜ!」みたいな。
だいたい本番が終わって、1週間ぐらいした後に、お客さんの声とかも入ってきたりするので、そこで「もっとこうしたら、こうなったんじゃないか?」って言いながらやってみたり。
一応、毎週、稽古場を開放しているんだけど、稽古しない日もあって、その時は、普通にどっかのお芝居を観たりします。
 
石井玲歌

うんうん。

中村太陽
その芝居を観たあとは、何が良かったのかを自分の口で言うことがとても大事で、ただ「面白かったですね」で終わったら、お客さんと一緒なんですよね。
自分が演技する上で、こういうプロセスがあって、こういう風にやりました。
だけど、そういう風に見えていない。
だとしたら、何が間違ってるのか、側から見たうえで、分析するべきなんです。
石井玲歌

う、うん……。

中村太陽
けど自分の芝居って、自分では見えないので、他人に見てもらう必要がある。
例えば、淳くん(瀬畠淳)が、Aの感情を抱いた芝居をしました。
でもそれはBの感情にしか見えない。
だとしたら、何が問題だろうと考える。
そもそも淳くんのイメージするAという感情に問題があるのでは? 何故ならAに見えないから。
だとしたら、淳くんに嘘でも違う感情を持たせて芝居させてみて、それがどう見えるのかを検証して、Aに見えたら、それをストックしていく。
そうすると、意外と外さなくなるので。だとしたら————。
石井玲歌

……

中村太陽
またやっちゃったよ!
俺、ずっと喋ってる!
石井玲歌

はは……(苦笑)。

中村太陽
歌ちゃんは、どういう風にお芝居を作るのか訊きたかっただけなのに、瀬畠淳の話になっちゃった……。
石井玲歌

そうだったのか。
この話、どこに行くのかしらって思っちゃった(笑)。

中村太陽
(笑)

気を取り直して……

石井玲歌

今回のカオスエンターテイメントは30分しかなかったから、毎回動画撮って、それをみんなで観て、そこでダメ出しとか。
本当は自分の動画を見るのは嫌なんですけど、それは客観視できて良かったかも。

中村太陽
動画って、どうなんだろうね。観たところで、みたいな。
石井玲歌

でもやっぱり、足りてないところが見える。
動きが小さいとか。
今回、コメディだったから。

中村太陽
ウチも浅賀さんが動画を撮って、みんなに見せてます。
最近は芸達者な役者さんが多くて、すぐに修正してくれるので助かるんですけど、諸刃の剣の時があって。
動画を意識することで、下手に格好つけるような人もいて。
自分を魅せる仕事なので、「自分のウリはこれじゃない!」って思って修正してくるんだと思いますけど、違うんですよね。
石井玲歌

やっぱり演出家さんには、色々なパターンを見せなきゃいけないんですかね?

中村太陽
一撃必殺の人もいますけどね。
「僕はこれです」って。
石井玲歌

9-Statesは個性がハッキリしている人が多いですよね。

中村太陽
僕は小劇場で大事なのは個性だと思ってて。
器用でスーパー2枚目な俳優なら、それで売れるんでしょうけど、小劇場って星の数ほど劇団があって、何かに特化してないと難しい。
色んなことがやれる人より、一本の日本刀を磨いた方が良いと思ってます。
多分、特殊な磨き方をしているのは、浅賀さんですよ。
器用という名の日本刀を磨いていますからね。
 
石井玲歌

(笑)

中村太陽
浅賀さんはオールマイティーです。
多分、天才なんですよね。
最初はエンタメの人だったんですけど、直ぐにこっちの芝居に合わせてくれて。
そういう意味でいうと僕から見た浜田くんは……。
石井玲歌

うんうん、それ聞きたい。

中村太陽
一言でいうと、努力の人だと思う。
石井玲歌

それは、そうだ……。

努力の人、浜田カオス。
果たして、中村太陽の目には
どう写っているのか!?

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