第五弾・ゲスト:黒崎雅&吉田汐(女優)

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今回は、次回公演に出演していただく、吉田汐さん、黒崎雅さん、のお二人と会談をしていきます。
数多くの舞台を経験している二人の魅力的なお話を是非是非お楽しみください。

中村太陽

中村太陽

今日は次回公演『世迷子とカンタータ』に出演していただく、お二人に来ていただきました。

吉田汐

吉田汐

吉田汐です。よろしくお願いします。

黒崎雅

黒崎雅

黒崎雅です。よろしくお願いします。

中村太陽

中村太陽

3人で会談するのは初めてなんですが、先ずは黒崎さんから。
9-Statesの作品に出演されるのは何回目ですか?

黒崎雅

黒崎雅

4回目? あっという間ですね。

中村太陽

中村太陽

コロナが終わったぐらいの時から出ていただいて、実際9-Statesの印象はどうですか?

黒崎雅

黒崎雅

これまで結構ガチガチの舞台が続いていたので、すごく新鮮な感じでしたね。

中村太陽

中村太陽

ガチガチというのは?

黒崎雅

黒崎雅

古典の物語とか。
完成された台本があって、作者が既に亡くなってて……みたいな。

中村太陽

中村太陽

うちは現代の会話劇だと思うんですけど、意識することとかありますか?

黒崎雅

黒崎雅

古典だと、台本に答えがあるから、“一語一句”間違えないように句読点の意味とかも考えて芝居しますが、太陽さんの現場だと「ここ要らないです! 邪魔だから消しちゃいましょう!」みたいなことあるでしょ。
そんなこと古典でやったら、ブッ殺されますからね。

中村太陽

中村太陽

言い方(笑)。

黒崎雅

黒崎雅

(笑)

中村太陽

中村太陽

僕は古典をやったことがないんですけど、古典の面白さってなんですか?

黒崎雅

黒崎雅

脚本ですね。
長い間、愛されているってことは、それだけ魅力があるってことだから。

中村太陽

中村太陽

僕も古典や昔からある作品を観ることがありますが、古典と小劇場の一番の違いは、古典に出演されている俳優は、みんな上手い。
小劇場の俳優が下手ってわけではないけど、古典をやっている人たちは、しっかりとした技術を見せてくれる。
昔、歌舞伎が好きでよく観に行ったけど、古典は歌舞伎に近いですね。

黒崎雅

黒崎雅

様式美だと思いますよ。
時代劇もそうですけど、所作や立ち居振る舞いで、テンポが変わりますから。
ズボンとかスカートで走り回るのと着物で走り回るのでは全然違います。
太陽さんも、緩急つけたり“リズム”を大切にしてますよね。
そういうところは、とても新鮮でした。

中村太陽

中村太陽

吉田さんは古典とかやられたりするんですか?

吉田汐

吉田汐

実はあたし、嫌いじゃないけど、1回も古典をやったことがなくて。
誘われたら観に行くし、人がやってたらやっぱりすごいなと思う。
太陽くんがさっき言ってたみたいに、技術の素晴らしさが絶対に必要な作品なんだなと思う。
逆にいえば、技術がないとやっちゃいけないと思うぐらい、神聖な感じ。

中村太陽

中村太陽

わかります。
手を出しちゃいけないところ。

吉田汐

吉田汐

そうなの。
そう思ってあたし今までやってこなかったし、好みでいうとやりたいと思ってない。

中村太陽

中村太陽

僕がいつかやってみたいのが『ゴドーを待ちながら』なんですけど、絶対技術が必要じゃないですか。
不条理なんですけど、若い頃、初めて見た時に、「なんだこれ?」って。
その後、劇団東京乾電池の柄本明さんが演出している『ゴドーを待ちながら』を観た時に、すごいなと思って。
それと、サモ・アリナンズの座長だった小松和重さんが緒方健さんとやっているのを観て感動しちゃって。
だからいつか やってみたいなと思って、メンバーにそのこと言ったら、みんなから「大丈夫です」って。

吉田汐

吉田汐

(笑)

黒崎雅

黒崎雅

私も清水邦夫の作品の時に、何人か9-Statesの劇団員の方が観に来てくれたんだけど、感想求めたら、「よく分からなかった」って。

吉田汐

吉田汐

(笑)

中村太陽

中村太陽

しっかりしたお芝居なので、見方があって、それこそ歌舞伎を見るとか、ちょっと近い。

吉田汐

吉田汐

あたし、日本人である限り、歌舞伎は絶対観ておいた方がいいと思う。
本当に素敵だし、楽しいし。
先ず目で楽しませてくれるでしょ。
それに衣装でしょ。
で、あの転換でしょ。
しかも生でしょ。曲もさ。
それだけで行った甲斐あるもん。
それが日本人がやってるっていうのは凄い誇りに思う。
そういう意味では歌舞伎は大好きだし、決して古典が嫌いなわけではない。
たまたま選んでこなかったみたいなところはあるかもしれない。
自分もやりたいというところにいなかった。

黒崎雅

黒崎雅

私も昔、養成所にいた頃、スタニスラフスキーの演劇論をベースに教えてくれてた俳優座の先生がいらしたんだけど、ある日持ってきたのが不条理劇の台本で。
老婆が夜の公園でピクニック始めて片付けて帰るみたいな話しで、お芝居をはじめて間もない私にはどこに面白さを感じて良いのかチンプンカンプンで。
その次の授業で、別の先生についた時にもらったのは、中村勘三郎さん、当時はまだ勘九郎さんと竹下景子さんの特攻隊のお話しを抜粋した台本だったんだけど
それは1回台本読んだだけでセリフが入るくらいすんなり理解出来たから、「あー、私は不条理劇みたいなのが苦手で人情芝居というか、そっちの方が向いてるのかも」って、思い込んじゃった。
まだ芝居始めたばっかりのひよっこなのに。
でも役者を続けるうちに、色々と壁にぶち当たるわけですよ。
役の解釈の幅の狭さとか創造性や想像性の無さとか歳を取れば体も動かなくなるし
容姿も変わるし。で、どんどん役者としての自信も無くなって。
だからいつまでも苦手だからって避けてた台本と向き合ってみようと思った。
ここ数年はあえてこれまで避けてた台本にチャレンジしてましたね。

中村太陽

中村太陽

あの……今まで何度か対談やってきましたけど、黒崎さんは、まあ喋る。

黒崎雅

黒崎雅

(笑)

中村太陽

中村太陽

一人の時間が長い! 僕も対談って言いながら、喋り過ぎてしまうことが多いんですけど……。

黒崎雅

黒崎雅

え、だって、相手がこの二人なんだもん(笑)。

中村太陽

中村太陽

できれば黒崎さんと吉田さんの会話のキャッチボールが見たかったんですけど……1ターンが長い!

黒崎雅

黒崎雅

(笑)

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