①オープニング 設定説明
主人公のオットーが、ホームセンターでロープを購入するところから物語は始まります。
購入時、彼はレジでフィートとヤードという単位の煩わしさについてクレームをつけ、その様子から彼が老害的なポジションにあることが明らかになります。
ある朝、オットーは、朝の準備として髭を剃り、散歩に出掛けると、ゴミ捨て場でルールを守れない住民に苛立ちを感じます。
オットーは、ルールに厳しく、生き辛さを抱えた老人です。
彼は住民がルールを守っているかどうかを監視しながら路上を歩き、玄関前で現れた野良猫に対しても冷たい態度で追い返します。
職場では、定年退職を迎えた彼に対するお祝いがあり、彼の似顔絵が施されたケーキが真っ二つにされる一幕もあり、シニカルで面白いです。
自宅前では配達員に、自宅中では保険の営業電話に怒りを露わにします。
その勢いで電話を解約し、さらには電気やガスも解約してしまいます。
そして、オットーはついに自殺を決意します。
この一連のシークエンスは、オットーが抱える社会への不満や孤独、彼の人生に対する絶望感を浮かび上がらせます。
②人騒がせな入所者との出会い。
オットーが自宅を掃除し、背広に着替え、自殺しようとした瞬間、迷惑な入居者を目撃します。彼らたちは縦列駐車ができずに困っており、オットーは渋々運転を代わることになります。オットーが上手に駐車した後、自室に戻ると、電気が停まっていることに気づきます。
結果、自殺しそびれたオットーは、不意に妻のソーニャを思い出すと、その時、扉をノックする音がします。
お礼にやって来た迷惑な夫婦、マリソンとトニーは、サルサとチキン料理を持ってきてくれます。その際、マリソンから「レンチを貸して欲しい」と言われると、オットーは渋々倉庫に取りに行きます。
その後、自宅でサルサを食べた後、オットーは再び自殺をしようとしますが、そこでまた、妻のソーニャを思い出しますが、そこで、首を括っていたロープが切れてしますと天井が損壊し、オットーは、再び自殺しそびれるのでした。
そんな中、「花2束8ドル」のチラシに目を留めたオットーは、妻の墓参りに出掛け、墓の前で愚痴をこぼします。
その夜、寝室で夢を見るオットー。
夢の中では、軍隊試験に落ちて落ち込むオットーが、彼女が落とした辞書を拾い、彼女を追いかけて電車に乗り込む様子が描かれます。その彼女こそが、後の妻ソーニャであり、彼らの初めての出会いが語られます。電車内でのエピソードを経て、朝になって電気がつかないことに気づいたオットーは、自決を保留にするのでした。
③死のうとする主人公
オットーは隣人に弁当箱を返した後、散歩に出ます。
散歩中、団地の道でルール違反している車を見つけますが、その車の持ち主はオットーの注意を聞き入れません。
さらに散歩を続けると、野良猫に怒鳴る女性を見かけます。
その後、オットーが損壊した自宅の天井を修復していると、レンチを返しに来た夫婦がクッキーを持ってきて、「ハシゴを貸してほしい」と頼みます。
オットーは倉庫にハシゴを取りに行きますが、その途中で近所に住む老婆・アニタから交渉した暖房の修復を頼まれます。
渋々引き受けたオットーは、アニタの家に行くと、そこには体が不自由なルーベンがいました。かつては仲が良かったものの、ある問題で不仲になり、その後ルーベンは脳卒中で倒れ、現在はアニタと近所のジミーに介護されながら生活していました。オットーはルーベンを許していないものの、帰り際に自殺を仄めかしますが、ルーベンは不自由な体を懸命に動かして止めようとします。
その後、オットーは自宅で背広を着て死の準備をします。
ここで、伏線として、オットーの大事な硬貨が床を転がります。
倉庫で車にガスを充満させて死のうとするオットーですが、最後にマリソンからもらったクッキーを食べながら妻のソーニャを思い出します。
ここではソーニャとの思い出や、彼女にお金を返す約束、デートの約束などが回想されます。
その時でした。オットーのもとにマリソンが慌ててやって来て、トミーがハシゴから落ちて病院に搬送されたことを知らされると、「病院に連れてって欲しい」と助けを求められることで、オットーは、再び死の準備から引き戻されるのでした。