①説明ゾーン
- 海原。主人公である女の子・ルビーの歌声が聴こえてきます。
- ルビーは家族(父・兄)と中型船に乗り、漁をしています。
手話で家族と会話するルビーから、家族が聾者であることが分かります。
- 漁を終えたルビーたちの家族は、港で漁業組合にお金を支払います。
- 悪口を言い合いながらも、とても雰囲気が良く、仲の良さが窺えます。
- 漁の仕事を終えたルビーは自転車を漕ぎ、高校の教室に向かいます。
ルビーは授業中に居眠りをしており、仕事と学業を両立しているため、相当な苦労人であることが分かります。 - 高校の廊下で、ルビーはヤリマンの親友・ガーティと話しながら歩いています。
このとき、同級生から「魚臭い」と揶揄されるルビーですが、彼女は言われ慣れているのか、あまり気にしていません。
そんな中、二人は「どのクラブに所属するか?」という話題になり、同級生のマイルズが合唱部に入ろうとしているのを見て、ルビーも合唱部に入ることを決めます。
彼女がもともと歌が好きであることは、冒頭から分かりますが、勇気がないという設定のため、マイルズの存在がルビーに少しの勇気を与えたのだと思われます。 - 校舎を出ると、そこには重低音を鳴らすうるさいトラックが停まっています。
乗っているのはルビーの父親と母親です。
迷惑な両親の行動にあたふたするルビー。
この場面で、父親は聾者でありながらも、重低音の振動を通じて音楽を楽しんでいると得意げに語ります。※伏線 - 3人が向かった先は病院です。
どうやらルビーは父親の「股間が痒い」という症状を医者に伝えるために通訳として連れてこられたようです。
父が性病であること、そして今でも母とは親密な関係であることが分かります。
- 夜になり、食事をするルビーの家族。
ルビーを除いて家族はみんな耳が聞こえませんが、それでも笑いが絶えない仲の良い家族です。
こんな素敵な家族だからこそ、ルビーは周囲から揶揄されても強くいられるし、世間に対して閉鎖的な側面を持っているのが分かります。
これがシークエンス①といったところでしょうか。
物語の設定(キャラクター設定&家族関係&世間との関わり方)が分かります。
②ファーストプロット 人前で歌うことを恐れていたルビーが歌う決意をします。
- 音楽室で個性的な音楽教師・V先生が声質を確かめようとすると、ルビーは怯えて逃げ出してしまいます。
このシークエンスでルビーが歌うことを決意するのであれば、これがアンチテーゼになります。 - 森へ逃げ出したルビーが向かった先は湖です。
ここで彼女が歌うと、実はとても上手いことが分かります。
冒頭の歌うシーンはさておき、ここで観客が感じるのは、「どうしてこんなに歌が上手いのに、逃げたりするのだろう?」という疑問です。 - ルビーが帰宅すると、父と母がお金のことで言い争っています。
①で漁業組合にお金を払うシーンがありましたが、それは、漁業組合と上手くいっていないことを示しています。 - 翌日、ルビーは漁師たちが漁業組合ともめているのを目撃します。
つまり、漁業組合と上手くいっていないのは、ルビーの家族だけではないことが明らかになります。 - その後、V先生が教室で瞑想していたところを訪れたルビーは、「人前で歌うのが怖い」と打ち明けます。
そこで先生から言われたボブディランを例にした深イイ言葉に心を動かされます。
この瞬間、ルビーは本当の意味で歌うことを決意します。これが物語の始まりを告げる瞬間であり、物語の「承」へと移行します。